Radeon RX 7800 XT&Ryzen 7 5700Xの20万円のBTOPCを予算+5万円で、VRChat兼作業用PCに改造する(前半)

RadeonでVRChatをやるのは、VRChatの用途とある程度の割り切りとPCの知識が必要だということは、前回の記事で紹介いたしました。また、20万円のBTOでもパーソナル利用でトラブルをある程度割り切れるのなら、スペック的な意味で問題ないことを下記記事にしました。

 ただ、せっかく高価でメモリ容量も多いGPUのPCを買ったのですから、VRCのみだけでなく、ほかにも強いPCにしてしまいましょう。ということで今回買ったPCを予算+5万円でどれだけ強いPCにできるか、トライしてみました。

今回使った即納BTOのPCについて

 今回、Radeon環境に問題がないかすぐに検証したかったので、即納モデルを購入しました。値段は20万円です。即納モデル&Radeon機種は、非常に少ないため、正直自作などと比べるとはるかに割高です。即納やBTOにこだわらなければ、もっと安くできると思います。GPU単体で7万円前半で購入できるコストパフォーマンスに優れたものになっています。

PC:GALLERIA RM7R-78XT 5700X搭載 『Minecraft: Java & Bedrock Edition for PC、PC Game Pass同梱版』https://www.dospara.co.jp/TC30/MC17107.html

PCスペック概要はこちら。グラボはRadeon RX 7800 XT 16GB GDDR6 OCです。

CPUAMD Ryzen 7 5700X (3.4GHz-4.6GHz/8コア/16スレッド)
CPUファン(空冷式) 12cmサイドフロー大型CPUファン
CPUグリスノーマルグリス
熱伝導率: 0.8W/m・K程度
グラフィック機能AMD Radeon RX 7800 XT 16GB GDDR6 OC (HDMI x1,DisplayPort x3)
電源750W 電源 (80PLUS GOLD)
メモリ16GB (8GBx2) (DDR4-3200)

このPC、実は大きな問題があったからこそ「20万円」で購入できたのです。

実はなかった3つの将来性

問題点1:CPUのソケットが旧式だった

安いものには訳があるように、RadeonのPC、重大な理由がありました。それは、最新のCPUソケット形状である「AM5」の形状ではなく、旧世代のZen3アーキテクチャーの「AM4」でした。つまり、旧式です。しかも、最新のAM5と互換性はありません。つまり、CPUを最新式にしようとしたら、AM5にしないといけないのです。

問題点2:メモリも旧式で足りない

で、今回のBTO、VRChatのみなら困りませんが、ちょっと良くしようとすると、メインメモリがかなり貧弱です。今回はDDR4で最新式のDDR5ではありません。メインメモリは、同時並行でいろんな作業をするときやGPUのVRAMメモリが足りない時に代わりに使うので、16GBは、かなり足りないのです。

問題点3:旧世代はやがて高くなる

旧世代の新品はどんどん市場から売れていき、追加はありません。つまり、どんどん高くなっていきます。つまり、CPUもメモリも新品が一番豊富なのは、生産を続けているからであって、新シリーズに置き換わって生産が中止されると販売中止になってしまい、価格も高くなっていきます。つまり、旧世代の規格で最大限の性能アップをする最後のチャンスなのです

将来性のないPCをどのように改善したか?

将来性がないといっても、グラボは交換できますし、VRChatではスペック不足によるトラブルをなかなか感じません。すぱぶい2日目の45人インスタンスでも8K写真が撮影できる余裕っぷりでした。では、どのように限界スペックまで上げるのか?以下のように考えました。

①既存品の活用 +0円

 まずは、使っていない部品の流量と、現状の拡張性です。今回購入したPCは、メモリの空きスロットが2つとBTOにしては珍しく拡張できる状況です。そこで、前のPCの交換時に余った16GBのメモリで補強し、16GB→32GBにしました。今回のBTOの良かったところは、空きスロットが2つ残っていたのが地味にうれしいです。
 この効果は、フジヤマで開催されたすぱぶいの閉会式で威力を発揮しました。4K写真ならば、60人表示して撮影、FPSも20~30の状況とFPSのパフォーマンスやカメラ撮影時に一気に落ちるトラブルをなくすなどの効果がありました。

現在は、このように増強をしていますが、DDR4のメモリはもう終わりが近いので、個人的に64~125GBまで補強ができるのなら今のうちがお勧めです。

②CPUの増強

 そして、今回、最も気にしないといけないのが、CPUです。GPUはまだ交換可能ですが、AM4対応のCPUは、今後新製品が出ない限り、AM5のほうで出てくるかと思います。そのため、CPUをよくするのなら、今のうちです。

とはいっても、Ryzen7 5700Xでも、AM4形状のソケットの中では、比較的高い位置にありました。

 以下ドスパラのベンチマークを紹介します。 

  引用:https://www.dospara.co.jp/5info/cts_lp_amd_cpu.html

 現在、AM4に対応して販売しているCPUは、「Ryzen7 5700X3D」と「Ryzen9 5900X」と「Ryzen9 5900XT」のようです。しかし、在庫が枯渇している今、5700X3Dはすでに新品が見つかりませんでした。
なので、あるのは「Ryzen9 5900X」と「Ryzen9 5900XT」の二つでした。両者の違いは、コア数などです。以下、詳細なスペック表を引用します

5900XTと5900Xのスペックの違い

5900XTと5900Xのスペックの違いは、以下の通りで、コア数とスレッド数、L1~L3のキャッシュが違います(以下引用)

 コアスレッドベースクロックブースト・クロックL1キャッシュL2キャッシュL3キャッシュTDP
5900XT16323.3GHz最大4.8GHz1024 KB8 MB64 MB105W
5900X12243.7 GHz最大4.8GHz768 KB6 MB64 MB105W

引用:https://www.corsair.com/jp/ja/explorer/gamer/gaming-pcs/amd-ryzen-9-5900xt-vs-ryzen-9-5900x-whats-the-difference/?srsltid=AfmBOorzRMZLZftEyhagYVU6erbFwEwmbIDO2f-cPNkU-qWi7snTJFQB

VRChatは、メモリを非常に使うため、キャッシュが多いのも重要です。以上の理由から、Ryzen9 5900XTをドスパラで54000円で購入しました。これで5700Xから、CPUのスペックが大幅向上です。べンチマークで言うと、2781→4692の大幅アップです。

ただし、お買い得ではない

 値段も5万円台とこのクラスでは、一見お得かもしれません。しかし、これはAM4対応マザボ前提での結果です。また、ゲーム自体が、CPUのコア数に最適化されているかも不明です。VRChatの場合、8コア16スレッドで、1コアあたりのクロックが高いほうが幸せかもしれないです。この辺りは意見がユーザーの利用方法によって分かれます。このクラスになってくると、VRChatだけやっている人よりも、別のソフトを裏で何かやりながらの人も多いからです。

 正直、今の時期、1から自作をするということ前提ならば、お金が出せるのなら、9900Xあたり、今回の5900XTを購入するくらいなら、7900~7900Xあたりが全然いいかと思います。下の動画の15分あたりをご参照ください。6万円台でAM5対応で性能が良いものを買えてしまいます。
 また、昨今のVRChatだと、自分の持っているBTOを超えるレベルを求める場合、高性能なグラボを生かしきれないことから、CPUのX3Dキャッシュがついた製品を選ぶ人もかなり増えてくると思います。とりあえず、現状CPUに関しては、Ryzenでしょう。

どうしてCPUを上げるのか?

 軽量ワールドだと、100FPSを簡単に超えるようになっており、CPUで頭打ちになっている可能性が高い状況です。と考えると、現状ボトルネックはどう考えても、CPUです。個人的には、FPS高い環境下だと、ライトハウス方式のフルトラの限界に挑めそうな気がしますし、VRゴーグル(HMD)も有効利用することができそうです。

CUDAに負け確定だけど、Radeon7000シリーズのうちRX7800XTで問題ないのか?

 生成AIは、Nvidiaの独壇場です。実際、CUDAに対しては全然負けていて、1.5倍以上の差が広がっているものもあります。問題は、Radeonの中でも、7800XTだけでは、足りないんじゃないのかということ。まぁ、足りないでしょうね。本当はもっと欲しいのですが、正直在庫とお金が足りませんので諦めます。

 こちらの方の動画を見る感じだと、生成AI以外で5060Tiよりは上なので、まぁ、いいだろう。うん。ということで、GPUはまたの機会に据え置きです。

 

設定方法

この動画によるとStable diffusionをAslockの「AIクイックセット」に入れると簡単とのこと。AIクイックセットで利用できる生成AIはこちら。

以下は公式の図より紹介します

対応アプリケーションはこちら

OSアプリケーションタイプ説明
Windows
(AMD version)
Shark画像生成AMDのSHARK Stable Diffusionはstabilityaiのstable-diffusion-2-1事前学習された拡散モデルを使用します。
Stable Diffusion web UI画像生成lshqqytigerのAUTOMATIC1111バージョンのStable Diffusion Web UIはDirectMLを使用しています。
Whisper Desktop音声認識Const-meのWhisperにはggerganov/Whisperの事前学習モデルが含まれています。
Windows
(Intel version)
Stable Diffusion web UI OpenVINO画像生成lshqqytigerのAUTOMATIC1111バージョンのStable Diffusion Web UI(OpenVINOを使用)
OSアプリケーションタイプ説明
Linux
(AMD version)
AudioCraft (AudioGen & MusicGen)音声生成CipherbunkerのMeta AudioCraftはWeb UIで操作。
Image/Manga Translator画像/マンガ翻訳Zyddnysバージョン。Web UIで操作。
Stable Diffusion CLI Diffusers画像生成runwaymlのstable-diffusion-v1-5事前学習された拡散モデルを使ったStable Diffusion。コマンドラインインターフェースで操作。
Stable Diffusion web UI画像生成AUTOMATIC1111版 Stable Diffusion web UI.
テキスト生成 web UI Llama 2テキスト生成TheBlokeのLlama-2-7B-Chat-GPTQ事前学習された拡散モデルを使用したoobaboogaバージョン。Web UIで操作。
YOLOv8 CLIオブジェクト検出Ultralytics YOLOv8。 コマンドラインインターフェイスで操作。

引用:https://www.asrock.com/microsite/aiquickset/index.jp.asp

 ちなみにStable diffusionの出力結果は、4060Tiと比べて、少し遅めとのこと。ただ、ここまでなら触ってみたいなレベルだったら、誤差範囲である。

次回に続く